花粉症で現れる症状は、人間本来が持つ「防ぎょ反応」そのものである!
花粉症にかかると、くしゃみや鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなどの症状が現れることはご存知のとおりです。
それでは、どうしてそのような症状が起こるのでしょうか。
実は、これらの症状というのは、人(動物)が本来持っている外敵から身を守るための「防ぎょ反応」そのものであることを理解する必要があります。
正式には「免疫反応」といいます。
人間の身体の中に初めて「花粉」が侵入してきたとしても、直ちにその段階で花粉症の症状が現れるワケではありません。(これは花粉に限らず、ほこりやばい菌などでも同様です)
最初に体内に侵入した物質(異物)に対して、「これは自分の身体にとって害になるものか、そうでないものなのか?」といった、いわゆる「品定め」を勝手に始めます。
そして、「これは害のないもの」と判断されれば、特に身体は反応しませんので、花粉症の症状が現れることはありません。(一生、花粉症に掛からない人は、無害と判断されていると考えられます)
しかし、「これは害があるもの」と判断された場合は、それを排除したり無害化したりするための準備を始めます。
そしてその最初の作業が「抗体」を作ることです。「抗体」とは、抗原(外敵:この場合では花粉)に対して身体を防ぎょするための物質でたんぱく質の一種です。
この抗体を作る作業は短期間で終わるのではなく、人によって違いがありますが、数年から数十年もの長い期間を費やします。
やがてある一定のレベルに達した(準備が整った)段階になって、初めて免疫反応として、くしゃみや鼻水などの花粉症の症状が出現するようになるのです。
ですから、ある年に突然、花粉症の症状が現れたとしても、実は数年前に花粉症が体内に侵入し、その時から着々と準備を進めていたことになります。
花粉症の症状を引き起こすメカニズムについてですが、まず、花粉という抗原が体内に侵入すると、それを排除しようとして抗体(IgE抗体)が反応を始めます。
具体的には、「ヒスタミン」という物質が発生し、このヒスタミンが知覚神経を刺激することにより、目のかゆみや鼻のかゆみが現れます。
そうすることによって、目に付着した花粉を涙で流そうとしたり、口や鼻から侵入しようとする花粉をくしゃみで吹き飛ばしたりや鼻水によって外に出そうとするのです。
一方、同じく抗体反応により発生する「ロイコトリエン」という物質は、血管を拡げる作用があり、これによって粘膜が腫れ上がり鼻詰まりを起こすことにより、花粉を鼻から体内へ進入するのを防いでいるのです。
このように、本来、免疫反応というのは「花粉」という外敵から身を守るための実はとても有難い生体機能なのです。
ところが、いくら有難いはずの免疫反応でも、あまり過剰に反応してしまうと、人間の生活に支障をきたしてしまいます。
そもそもアレルギーというのは、ある特定の抗原に対して過剰に免疫反応することをいいますから、花粉症もアトピー性皮膚炎などと同様にアレルギーの一種ということになります。
しかし、人体にほとんど害がない「花粉」に対してアレルギー反応を起こすことが大きな問題でもあります。