『アレルギー基本法』は花粉症対策の切り札となるか?

 

 

『アレルギー基本法』は花粉症対策の切り札となるか?

 

今や「国民病」とまで呼ばれるようになった花粉症。

 

でも、辛く苦しいのは花粉症だけではありません。

 

小さな子供から大人まで症状が辛くなかなか治りづらい疾患といわれる「アトピー性皮膚炎」や「気管支喘息」、「食物アレルギー」など、いわゆる「アレルギー」に関わる疾患が日本中に蔓延しているのです。

 

 

 

過去に行われた調査によると、日本国内におけるアレルギー疾患を患っている国民は以下のとおりです。

 

・アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)・・・・・・・・・・47.2%

 

気管支喘息・・・・・・・ 9.4%

 

 

・アトピー性皮膚炎(4ヶ月)・・・・12.8%

 

〃    (1歳6ヶ月)・・・・・・・・・・・・・ 9.6%

 

〃    (3歳)・・・・・・・・・・・・・・・・13.2%

 

〃    (小学1年)・・・・・・・・・・・・・・11.8%

 

〃    (小学6年)・・・・・・・・・・・・・・10.6%

 

〃    (大学生)・・・・・・・・・・・・・・・ 8.2%

 

〃     (20代)・・・・・・・・・・・・・・ 9.4%

 

・食物アレルギー(乳幼児)・・・・・・・・・・・5%〜10%

 

〃   (学童期)・・・・・・・・・・・・・・・ 1%〜2%

 

このように主要なアレルギー疾患だけでも、ざっと見て人口の半数程度は有症者がいると思われます。

 

特に「気管支喘息」と「食物アレルギー」については、死亡事故に至る場合があり、大きな社会問題となっています。

 

これらのアレルギー疾患にかかる要因は、広い意味では自然環境や社会環境、そして生活環境によるものですが、だからといってこのまま見過ごすことは許されません。

 

今後、アレルギー疾患による死亡事故の防止やアレルギー疾患者数を減少させるためには、国や自治体、学校や医療機関が率先して総合的な対策を講じる必要があります。

 

そのような背景から厚生労働省を中心に国会・政府で検討された結果、2013年6月に「アレルギー基本法」(正式には「アレルギー疾患対策基本法」)が成立しました。

 

アレルギー基本法が成立!

 

 

この法律は、アレルギー疾患対策の一層の充実を図るため、国や地方自治体、医療機関・学校、児童福祉施設、老人福祉施設などの関係者のそれぞれの責務を明確にするとともに、アレルギー疾患対策の推進に関する計画を策定して総合的な施策による生活環境の改善や、全国どこでも適切な医療を受けられる体制づくりなどを総合的、計画的に推進することを目的としています。

 

アレルギー疾患対策推進基本計画は、厚生労働大臣が患者や学識経験者など関係者で構成される「アレルギー疾患対策推進協議会」の意見を聴き、閣議を経て策定されます。

 

計画は少なくとも5年以内に検討を加え必要に応じて見直しすることとなっており、都道府県に対してはアレルギー疾患対策の推進に関する計画を策定するよう努めなければならないとしています。

 

 

この法律の基本理念は次のとおりです。

 

 

@ 総合的な施策の実施により生活環境の改善を図ること。

 

A 居住地域にかかわらず適切なアレルギー疾患医療を受けられるようにすること。

 

B 適切な情報の入手ができる体制及び生活の質の維持向上のための支援体制の整備がなされること。

 

C アレルギー疾患研究を推進し、その成果等を普及・活用・発展させること。

 

 

また、国が講ずる基本的な施策次のとおりとなっています。

◯アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減
・生活環境が及ぼす影響に関する普及啓発、重症化予防等に関する教育の推進等
・生活環境の改善を図るための措置の実施

 

アレルギー疾患対策の充実なるか?

◯アレルギー疾患医療の均てん化の促進等
・アレルギー疾患医療に係る専門知識・技能を有する医師等の育成
・専門的なアレルギー疾患医療の提供等を行う医療機関の整備

 

◯アレルギー疾患患者の生活の質の維持向上
・アレルギー疾患患者の生活の質の維持向上に係る専門知識・技能を有する保健師、助産師、管理栄養士、栄養士、調理師等の育成
・連携協力体制の確保、研修の実施、相談体制の整備、教育の推進等

 

◯研究の推進等
・アレルギー疾患研究の促進及びその成果の活用のための施策の実施
・アレルギー疾患医療に係る医薬品等の治験の迅速化のための環境整備

 

 

花粉症に苦しむワタシ達にとって、アレルギー基本法が本当の意味での「対策の充実」に繋がってくれればと願うばかりです。