花粉症の原因植物のほとんどが「風媒花」?
「花粉症」にかかるのは、特定の植物の花粉よるものといわれていますが、果たして本当にそうでしょうか。
たとえば、チューリップとかバラとかカーネーションなど鑑賞用の花の花粉では花粉症にならないのか。
正解は、「花粉症になり得る」です。
実はワタシの友人で、毎週フラワーアレジメントを習っている人がいるのですが、「花粉症の症状が出て辛い」とこぼしていました。
本当に証明するためには、実際に色々な花から花粉を採って目や鼻に付けてみればハッキリするのでしょうが、そんな勇気のある人はいません。
でも、ワタシは「(花粉を形成する)全ての植物は、おそらく花粉症の原因となり得る」と思っています。
ただ、スギやヒノキ、ブタクサなどの原因植物との違いは、「花粉症にかかりやすいか、かかりづらいか」の違いだと思います。
そこで、「風媒花」という聞き慣れないキーワードの登場です。
「風媒花」とは、花粉の媒介を『風』に頼るの植物のことをいいます。
実は、花粉症の原因となる植物の多くが「風媒花」といわれています。それは風媒花ならではの花粉の特徴に起因します。
風媒花は、風に乗って花粉を飛ばすために、花粉は比較的小さくて軽く、しかも風に乗りやすいようにギザギザしたものや、ゴルフボールのディンプルように凹面のものがあります。
花粉が飛散する距離も相当長く、スギ花粉にいたっては80q以上、強風の場合だと200q以上ともいわれます。
逆に鳥媒花や虫媒花の場合は、通常、風によって花粉が飛散しやすい構造になっていないため、花の生産者や加工業者など一部の人を除き花粉症かかることはほとんどありません。
よくタンポポ(虫媒花)を子供が触って花粉症の症状を起こすことがありますが、それは花粉を触った手で眼や鼻をこすることによって発症するからです。
一方、花粉症の原因植物であるセイタカアワダチソウは虫媒花であり、花粉が飛ぶとしてもせいぜい10m程度ですが、これらの植物が群生しているところに近寄って花粉症にかかる場合があります。
花粉を飛ばすのは子孫繁栄のためのシステム?
ところで、「植物の受粉媒介」について、ここで少し説明したいと思います。
植物も動物と同じように子孫を次世代に残すためのシステムがあります。
植物が実を結び種子を残すためのシステムとして「オシベ」と「メシベ」が形成され、一般的にオシベが花粉を作り出し、メシベと咬合することで受精します。
この花粉をメシベに届けるという重要な役割を、「何を媒介にして行うのか」が受粉媒介の違いであり、一般的に次のように区分されています。
風媒花
風媒花〜風を媒介して受粉する植物のこと。
・「風」という自然にあって環境にほとんど左右されないものを媒介する方法であるため、多くの種類の植物が用いる方法。
・花の色や形が地味なものが多く、花粉量が多い。
・具体的には裸子植物、ヤナギ科、ブナ科、イネ科、カヤツリグサ科など。
鳥媒花
鳥媒花〜鳥を媒介して受粉する植物のこと。
・花の色が赤いものがほとんどである。
・鳥が留まりやすいように花器が硬いものが多い。
・花期が長く匂いがないものが多い。
・蜜の量は多く、味は比較的薄い。
・媒介する鳥は、ハチドリ、ミツドリ、ハナドリなど。
・具体的にはアロエ、アンズ、ウメ、極楽鳥花、ハイビスカスなど。
虫媒花
虫媒花〜虫(昆虫)を媒介して受粉する花のこと。
・虫を誘引するために美しく目立つ姿や強い香りを放つものが多い。
・花粉に粘り気があり、虫の体に付着しやすいものが多い。
・蜜を出すものが多い。
・媒介する虫は、ハエ、ハチ、チョウ、ガなど。