アニサキス症が増えています!

 

近年、“アニサキス症”という食中毒になる人が年々増えています。

 

厚生労働省の発表によると、全国でアニサキス症になった人の数は2016年(平成28年)は126件、2017年(平成29年)は242件、そして2018年(平成30年)には478件と増加の一途をたどっています。

 

実はこの数字も、あくまで公式に報告されたものだけであって、実際には年間7,000人ぐらいの人が発症しているとの試算もあります。

 

また、発症する季節についても、以前は“冬場に多く発生する”と思われていましたが、統計を調べてみると季節に関わらず、一年を通して発症していることが分かっています。

 

普段あまり耳にしない“アニサキス症”とは、いったいどのような病気なのでしょうか。

 

アニサキス症の実態

「アニサキス症」とは、“アニサキス”という寄生虫によって引き起こされる食中毒の症状をいいます。

 

アニサキスの幼虫は、体長2〜3cmの白色の少し太い糸のような形をしていて、サバやイワシ、カツオ、サケ、イカなどの魚介類に寄生し、それらを介して人体に入り込みアニサキス症を引き起こします。
アニサキス症の原因はアニサキス幼虫

 

アニサキス症の原因となるアニサキス幼虫が見つかったのは1960年代になってからで、それ以前は診断方法が確立されていなかったため、激しい痛みの部分を開腹して患部を切除し、後の病理検査で初めてアニサキス症であることが判明したケースがほとんどでした.

 

しかし、1970年代以降になってからは内視鏡検査(胃カメラ)が普及し、直接アニサキスを摘出することが可能になりました。

 

その結果、アニサキス症と判定されるケースが予想以上に多いことが明らかになりました。

 

日本でアニサキス症が多い理由は、実は“日本人の食分化”に起因しているといわれています。

 

日本では、昔から新鮮な魚介類を刺身や寿司など、生で食べる習慣がありますので、アニサキス症の発症例は他の国と比べて圧倒的に多くなっています。
生の魚介類を食べる習慣がある日本
レセプトデータ(医療機関の診療報酬明細)を用いた試算では、日本におけるアニサキス症の件数は年間7,000件前後と推計されています。

 

それに比べ海外での報告数は、欧州では年間で500件以下、米国では50件以下となっており、日本におけるアニサキス症の発症例が圧倒的に多いことが分かります。

 

アニサキス症は確実に増えています

近年のアニサキス症の増え方は異常です。

 

厚生労働省が発表した食中毒事件の統計によると、2016年(平成28年)の統計ではノロウイルス(354件)、カンピロバクター(339件)に次いでアニサキス(124件)が第3位でしたが、2018年(平成30年)の統計ではアニサキス(468件)が、カンピロバクター(319件)、ノロウイルス(265件)を上回り第1位となっています。

 

アニサキスによる食中毒が急増している

 

おそらく実際の数は、この20倍近くになると予想されています。

 

 

いずれにしても、“アニサキス症”という病気が近年になって著しく増加の一途をたどっていることは明らかですので、魚介類の生食を好む私たち日本人にとっては重大な関心事です。

 

アニサキス症にならないためには、アニサキス症に関するさまざまな知識と対策を学び、普段から十分に用心しなければなりません。

 

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