花粉症の症状緩和に「ビタミンD」が効果的!
現代人の約半数近くが、花粉症やアトピー性皮膚炎など何らかの「アレルギー」と呼ばれる疾患を抱えているといわれていますが、実はこれらアレルギーやその他現代病を抱える一因として「ビタミンDの欠乏」が指摘されているのをご存じですか?
この話、実はある1冊の本がきっかけとなって話題になりました。
その本とは『サーファーに花粉症はいない』(2012年1月 小学館)
著者は、日本機能性医学研究所所長の斎藤糧三医師です。
話の概要をご紹介すると、斎藤先生ご自身が奥さん共々花粉症にかかっていた時期があって、ある記録的な花粉飛散があったシーズンに「何か良い解決策はないものか」と効果的な治療法などを探し求めていたときに出会ったのが「ビタミンD」のサプリメントだったそうです。
それを飲んで少しすると、それまで呼吸できなかったほどの鼻詰まりがスーっと通り出したそうです。
「これはいけるぞ!」 そう思った斎藤先生は夫婦でビタミンDの摂取を続けました。
そして翌年、いつもならとっくに発症しているはずの花粉症の症状が全く現れない・・・しかも夫婦揃って。
「もしや?!」と思い、自分のクリニックのスタッフの中で花粉症の症状で苦しんでいた10名に対しビタミンDのサプリメントを試してもらったところ、10人全員が少なからず症状の緩和を実感したのだといいます。
そこで斎藤先生は、「花粉症とビタミンDの欠乏はきっと関係がある」と直感し、ビタミンDの効果などについて研究を進めました。
そもそも「ビタミンD」といわれるものには、植物に多く含まれる「ビタミンD2」と動物に多く含まれる「ビタミンD3」の2種類が存在し、人間に対し重要な役割を担うのは「ビタミンD3」の方です。
ビタミンDには主に次の3つの生理機能があるといわれています。
1 小腸からのカルシウムの吸収促進
2 腎臓の働きによる血中カルシウムの排出抑制、血中カルシウム濃度の維持
3.骨から血中へカルシウムの放出促進、骨形成の円滑化
いわゆる人体の元となる骨や筋肉、神経など重要な器官を維持するために必要な栄養素といえます。
ところで、近年の研究によりこれらの機能以外に「免疫バランスの調節」機能があることが判明しています。
要するに外部からの侵入に対する防衛機能である「免疫力」は弱すぎても強すぎても身体に支障を来すので、それをバランス良く調整しているのです。(ちなみにアレルギーは免疫力が強過ぎて起こる疾患です)
ところがビタミンDが不足することによって免疫バランスの調節が上手くされなくなり、花粉症を始めとしたアレルギー疾患やさまざまな病気を引き起こす原因になっているというのです。
しかも現代人の大半が、このビタミンDが不足気味であると考えられているのです。
ビタミンDが不足する原因とは?
それでは、どうして現代人はビタミンDが不足しているのでしょうか。
それを解く前に、ビタミンDはどうやって体内に吸収されるのかについて抑えおく必要がありますが、方法は主に2つあります。
一つは、「食物からの摂取」です。
ビタミンDは主にきのこ類や魚類に多く含まれていますが、含有量の多い順に見てみると次のとおりです。
<ビタミンDの多い食べ物>
@白きくらげ(乾燥) 970μg (100g当たり。以下同じ)
Aきくらげ(乾燥) 435μg
B かつおの塩辛 120μg
Cあんこうの肝 110μg
Dしらす干し 61μg
驚きなのは「乾燥きくらげ」の含有量ですが、水に戻すと約10分の1に減少してしまうようですので、戻し汁をそのまま料理に使うと良いと思います。
2つ目は「紫外線(太陽光)による皮膚からの生成」です。
詳しいメカニズムは省略しますが、雑駁にいうと体内のコレステロールが太陽の光(紫外線)に反応し、ビタミンDが生成されます。
そのためには太陽光線を身体に浴びなければなりませんが、その目安としては週2回程度、顔や手足、背中などに5分〜30分程度浴びれば十分といわれています。
人間の体にとって必要なビタミンDをきちんと摂取するには、限られた食べ物からしか摂取できない「食物摂取」よりも、天候にもよりますが簡単に出来る「太陽光線(紫外線)」による生成の方が理想的です。
ところが、実際にはそれが出来ないことにより「ビタミンD欠損症」状態の人々が多数存在しているのが現状です。
昔なら当たり前のように行っていた「日光浴」、「日焼け」といった行為が最近(ここ30年ほど前から)まるでタブー視されてるかのように否定される風潮にあります。
その主な原因は大きく2つあり、一つは「日焼けによる皮膚がんの危険性」、もう一つが「シミやシワ」などいわゆる美容的なものです。
一つ目の皮膚がんの可能性ですが、通常の日光浴や日焼けではほとんど発がんの危険性はないといわれています。
2つ目の美容的な関係については、確かに直射日光に長く浴びることによる紫外線の皮膚への影響は十分ありますが、そこは程度や許容範囲、そして一番は国民性の問題かとも思います。
たとえば北米や欧州では、昔から日光浴の必要性を認識しておりバカンスなどを通じて日光浴の習慣がありますし、シミやそばかすなどの皮膚への影響についても日本人ほど深刻に考えている国はありません。
ところが日本ではいつの間にか「日光浴は紫外線を浴びること=悪いこと」という概念が植え付けられてしまったのです。
ビタミンDのサプリメント確かに皮膚の弱い人や見た目に浅黒い肌はちょっと抵抗があるという人にすれば、日光をなるべく浴びたくないという感情も理解できます。
そういう人の場合にお勧めなのがビタミンDのサプリメントです。
無理に日光浴や食事で摂取することなくビタミンDをカバーすることが出来るからです。
ただし、ビタミンDは過剰摂取すると高カルシウム血症、肝機能・腎臓障害、尿毒症などにかかる危険性がありますので、厚生労働省では一日の摂取量の目安は成人で220IU/日(5.5ug)、上限は2000IU/日(50ug)とされていますが、多くの研究者は「成人で2000〜4000IU/日」が妥当」としています。
また、ビタミンDの効能は花粉症などのアレルギー疾患にとどまらず、「がん」や「インフルエンザ」、「アルツハイマー」の予防にも効果的だという報告もあります。
人類の数百万年の歴史を振り返ると常に太陽の光を燦々と浴びながら生活していたわけで、太陽の光というのは人類だけでなくあらゆる動植物に恩恵をもたらしてきました。
いずれにしても、ワタシ達のように花粉症のつらい症状で苦しんでいる人たちにとって、ビタミンDは症状の緩和のみならず体質改善による根治療法にも繋がる可能性があるので、今後も注目すべき話題だと思います!