花粉症の治療、予防対策のためには検査が重要です!

花粉症の検査

 

最初に花粉症と疑われる症状(くしゃみや鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなど)が現れたとき、自分勝手に花粉症だと思い込む人が多いのですが、自己判断は禁物です。

 

なぜなら、花粉症と同じような症状が現れる病気は他にもたくさんあるからです。

 

 

また、もしも花粉症で間違いないとしても、原因となる植物が何かを特定しなければ正しい治療や効果的な予防対策を講じることが出来ないばかりか、余計に症状を悪化させる可能性もあります。

 

花粉症の検査は重要です

 

そこで重要になってくるのが花粉症の検査です。

 

花粉症の検査は、その症状が花粉症などのいわゆるアレルギー反応によるものであるかどうかについてまず調べ、次にアレルギー反応を起こしている抗体(アレルゲン)は何かを調べます。

 

検査の種類としては、「鼻汁好酸球検査」「血液検査」「ヒスタミン遊離試験」「皮内テスト」「鼻粘膜誘発試験」などがあります。

 

1 鼻汁好酸球検査

鼻汁好酸球検査

鼻汁好酸球検査は、患者の鼻汁の中に白血球の一種である「好酸球」と呼ばれる細胞が増加しているかどうかを調べることによって、アレルギー性の疾患の可能性や症状の強さを判定する検査です。

 

たとえば花粉症に似た症状である風邪(ウィルス性疾患)の場合は好酸球の増加は見られず、好中球という細胞が増加しますので容易に区別することができます。

 

また、好酸球の量が多いほど症状が強い(重症)ということが判ります。

 

この検査は鼻汁を染色し顕微鏡で確認するだけなので短時間で識別することが可能です。ただし、この検査で原因抗体を特定することは出来ません。

 

2 血液検査

通常のアレルギー検査(食物アレルギー)と同様、患者の血液を採取し、血液の状態からアレルギー反応の強さや原因抗体の特定をする方法です。

 

血液検査で判定する項目は大きく3つあります。

 

(1) 「総 IgE(IgE RIST)」

 

花粉症に関わりの深いT型アレルギーの場合に増加する免疫タンパクの総数を調べるもので、この数値が高ければ高いほどアレルギー反応の強度(潜在力)が高いと判定します。

 

(2) 「特異的 IgE(IgE RAST)」

 

血液検査

 

アレルギー反応する抗体(アレルゲン)を具体的に特定するものです。どのアレルゲンにどれだけ感作するかを(−)〜(6+)まで段階的に表示することが出来ます。

 

この検査で調べられるアレルゲンは200種類以上もあり、現在の検査では最も信頼性の高い検査といわれていますが、あくまでも「原因として可能性のある抗体のリストアップ」でしかなく、その抗体が確実に原因抗体と断定することは出来ません。

 

(3) ヒスタミン遊離試験(HRT)

 

ヒスタミン遊離試験は採取した血液の中から分離した「好塩基球」という細胞に抗体を加え、 放出されるヒスタミンの量を測定することによりアレルゲン反応を調べる検査です。

 

前述した「特異的IgE」の検査と比べよりアレルゲンを特定することが出来ます。

 

 

3 皮内テスト

皮内テスト

皮内テストは、患者の皮膚にテスト用アレルゲンを皮膚に注射してその部位の発赤・腫脹の有無によりアレルギー反応を調べる検査です。

 

ただし、アレルギー反応が重篤な患者の場合、アレルゲンがたとえ少量でも喘息やアナフィラキーショックなどの重篤な症状を引き起こす可能性があることから留意が必要です。類似の検査として、皮膚に小さな傷を付けてアレルゲンを浸し反応を調べる「プリックテスト(スクラッチ)」やアレルゲンを軟膏に混ぜたパッチを皮膚に貼って反応を調べる「パッチテスト」などがあります。

 

これらの検査は抗アレルギー薬などを服用している状態で行っても正確な反応が出ない場合があります。

 

 

4 鼻粘膜誘発試験

鼻粘膜誘発試験

 

原因が疑われるアレルゲンを染み込ませた紙片を鼻粘膜に直接貼りアレルギー症状(くしゃみ(またはかゆみ),鼻汁,粘膜腫腫のうち2項目以上陽性なら陽性 )が現れるかどうかを見る検査です。こちらも喘息やアナフィラキーショックなどの重篤な症状を引き起こす可能性を考慮する必要があります。

 

花粉症の検査を受ける際の医療機関の科目(何科で受診すれば良いか)ですが、専門科目としては「耳鼻咽喉科」が該当しますが、近年のアレルギー性疾患の増加を反映してか、内科でもほとんどの場合は検査が可能です。

 

また、症状が重い場合は、その症状に適した科目(たとえば鼻水や鼻詰まりがひどい場合は耳鼻咽喉科、目の周りの湿疹であれば皮膚科など)を受診すると良いと思います。