花粉症の正体とは?
「花粉症」とは、いったいどんな病気なのでしょうか。
日本アレルギー協会の資料などによると、“花粉症は、花粉によって生じるアレルギー疾患の総称であり、主にアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎が生じます。”と書かれています。
つまり、植物の花粉によって引き起こされるアレルギー疾患の一つなのです。
原因となる花粉が鼻から入ってくると、アレルギー性鼻炎の症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど)を引き起こし、目から入ってくると、アレルギー性結膜炎の症状(目のかゆみや涙目、目の充血など)を引き起こすことになります。
また、鼻づまりによって頭痛を伴ったり、鼻や喉の炎症反応によって微熱やだるさなどの症状が伴う場合があります。
これらの症状を起こす原因は、アレルギーの原因(アレルゲン)である花粉がヒトの体内に侵入するのを、くしゃみや鼻水、涙などの症状によって排除しようとする『防ぎょ反応』(正式には免疫反応)であるといわれています。
通常であれば、「免疫反応」というのは外的刺激から身を守るため、人間にとってむしろ都合の良い作用なのですが、それによって起こる症状が強く出過ぎると「アレルギー」というやっかいな状況に陥ります。
花粉症にかかると、日常の生活もままならないほど不快でツラい状況が長く続き、その間、生活の質を低下させてしまうからです。
原因植物の代表はスギやヒノキ
花粉症の原因となる植物は、どんな種類があるのでしょうか。
もっとも有名なのが、誰もがご存知の“スギ”によるもので、花粉症の原因植物の第一位になっており、二番目に多いのが“ヒノキ”です。
これらの植物が花粉症の原因(アレルゲン)の上位になっているのには理由があります。
その一つは、『(原因植物の)量の多さ』です。
トップである“スギ”の分布面積は448万ヘクタールで、日本の森林面積の18%を占めています。
また、2番目の“ヒノキ”の場合は226万ヘクタールで、日本の森林面積の10%を占めています。
原因植物の量が多いのですから、おのずと飛散量が多くなるのは当然のことです。
そして二つ目は、“飛散する範囲の広さ”です。
植物の花粉を運ぶ手段はいくつかありますが、スギやヒノキの場合「風媒花」、つまり風によって花粉が遠くに運ばれる性質を持っています。
スギの木自体も高さがあるので、花粉も高い位置から風に乗って容易に遠くまで運ばれてしまいます。
その距離は、なんと数キロから数百キロともいわれており、これによって大量のスギ花粉が遠い場所まで広い範囲にわたり飛散することになります。
このように、原因植物の量が多いことと、飛散する範囲が広いことなどによって、スギが花粉症の原因植物のトップになっているのです。
花粉症の原因植物は60種類以上も存在する?
実はほかにも、花粉症の原因となる植物が国内で60種類以上も見つかっています。
そのうちの半数近くは農家の方がハウス内で栽培する野菜やくだもの、園芸花などの受粉作業などを行う際に発生するものなので、あまり心配する必要はありません。
問題となるのは、身近に生息している野生の植物です。これらの植物は、体系によっていくつかに分類されます。
スギ、ヒノキ以外で代表的なものだけを羅列すると、樹木系ではハンノキ、シラカンバ、クリ、コナラ、ウメ、草花系では、カモガヤ、ブタクサ(セイタカアワダチソウ)、ヨモギ、カナムグラ、ヒメガマ、コガマ、ススキなどがあります。
それぞれ、原因植物の種類によって花粉が飛散する時季に違いがあり、また、各地域によって派生する原因植物の種類や量も違ってきます。
たとえば、原因植物の中で最も多いされるスギの場合、北海道にはわずかしか存在しませんし、沖縄にいたっては全く存在していません。