花粉症に効く「スイッチOTC薬」とは?
ツラい花粉症の症状を緩和する治療の中で最もポピュラーなのが「薬」による治療です。
薬といえば、病院でお医者さんが処方する薬のほかにも町中の薬局や薬店で売られている市販薬があります。
実は少し前までは町中の薬局や薬店に並ぶ市販薬は花粉症の症状に良く効くものはほとんどなかったせいか、花粉症で悩む方々にとって薬といえば病院で医者さんが処方してくれる薬が大半を占めていました。
ところが、ここ最近になって事情が変わってきたのです。それは病院の薬にも引けをとらないほど効果の高い市販薬が店頭に並び始めたからです。
これらの薬を「スイッチOTC薬」と呼ばれています。
スイッチOTC薬とは、これまでは医療機関において医師の処方箋に基づき調剤される医療用医薬品にしか使用できなかった成分を、一般の薬局・薬店で販売される一般医薬品の成分としての使用が承認された市販薬のことをいいます。
「OTC」は、Over The Counterの略で、街中の薬局のカウンターで売られる薬、つまり市販薬という意味で、処方薬から市販薬にスイッチ(切り替え)された薬ということになります。
花粉症も市販薬でOK?日本の薬事法では、その薬の作用の度合いや使用上の困難性、副作用の危険性などによって主に「医療用医薬品(処方箋医薬品ともいう)」と「一般医薬品」に区分されています。
医療用医薬品は、医師が直接患者さんを診察し、症状に応じた薬の処方箋を書き、患者さんに薬の内容について説明するとともに、調剤薬局では処方された薬の飲み方や注意事項を丁寧に説明するなどの対応が可能ですので、比較的作用の強い成分や副作用の危険性の高い成分を含む薬を処方することが出来ます。
一方、街中の薬局・薬店で買える市販薬の場合は、店内には薬剤師が常駐しているとはいえ、病院のような細かなケアは難しいため、比較的作用の弱い成分、副作用の少ない成分の薬しか販売されていませんでした。
このスイッチOTC薬の登場で、今まで医師の処方によらなければ使用出来なかった成分を含む薬を市販薬に用いることが出来るようになったことで、花粉症の症状に対しより効果の高い薬が窓口で買えるようになったのです。
実はスイッチOTC薬の登場は、花粉症以外の分野では歴史が古く、かなり以前から登場していました。
最初にスイッチOTC薬として承認されたのは、1983年(昭和58年)に高コレステロール低下薬に用いられた「ソイステロール(大豆油不けん化物)」という成分だそうです。
それから約30年間のうちに100種類位上の成分がスイッチOTC薬として承認されています。
花粉症の話に戻りますが、花粉症の症状に効くスイッチOTC薬の配合成分として承認されたものとしては、2005年に承認された「ケトチフェンフマル酸塩」をはじめ、2006年「アゼラスチン塩酸塩」、2009年「エピナスチン塩酸塩」、2011年「ペミロラストカリウム」、2012年「フェキソフェナジン塩酸塩」などがあります。(※あくまでも成分名であり、市販薬の名称ではありません)
花粉症に効くスイッチOTC薬の種類や特徴
それでは、これらの成分が配合された花粉症に効くスイッチOTC薬(市販薬)の種類や成分、特徴などを具体的に見て行きましょう。
アレグラfx(久光製薬)
<価格>
希望小売価格(税別)14錠入り 1,314円、28錠入り 1,886円
<成分>
フェキソフェナジン塩酸塩
<用法>
・成人(15才以上)、1回1錠、1日2回 朝夕に服用。
<特徴>
・医療用成分「フェキソフェナジン塩酸塩」を、医療用と同じ量を配合し、1回1錠、1日2回、朝夕の服用で、24時間しっかりアレルギー症状を抑える。
・脳に移行しにくい抗ヒスタミン薬を使用。アレルギー症状をしっかり抑えるのに、眠くなりにくいアレルギー専用鼻炎薬。
・集中力、判断力、作業能率の低下をきたしにくい。
・だ液の分泌を減らす、副交感神経遮断薬(抗コリン薬)が配合されていないため、口が渇きにくい。
・空腹時でも飲める。
アレジオン10(エスエス製薬)
<価格>
希望小売価格(税別) 6錠入り 1,219円、12錠入り 1,886円
<成分>
エピナスチン塩酸塩
<用法>
・成人(15歳以上)、1日1回、就寝前に水又はぬるま湯で服用。
<特徴>
・作用の持続性に優れており、1日1回の服用で効果を発揮。つらいくしゃみや鼻水、鼻づまりを改善し。
・第2世代抗ヒスタミン薬である医療用成分「エピナスチン塩酸塩」を配合。くしゃみや鼻水などのアレルギー性鼻炎症状を鎮め、さらにアレルギー症状を引き起こす原因物質の発生も抑える。
・広く抗アレルギー薬に分類される「ヒスタミンH1拮抗薬」で第2世代抗ヒスタミン薬でもあり、よけいな中枢神経抑制作用や抗コリン作用が弱く、眠気や口の渇きの副作用が少ない。
アレギサール鼻炎(田辺三菱製薬)
<価格>
希望小売価格(税別) 30錠 1,886円
<成分>
ペミロラストカリウム
<用法>
・成人(15才以上)、1回1錠を1日2回、朝食後及び夕食後に服用。
<特徴>
・肥満細胞を安定化させることで、ケミカルメディエーター(ヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサンなど)の放出を抑え、アレルギー性鼻炎の3大症状である、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりを抑える。
・発症前から服用することで、症状の発現を遅らせ、花粉シーズン中の症状を軽くする。
・眠くなる成分が入っていないため、受験生や仕事中の方にも服用できる。
・不快で長びく鼻づまりにも効果があり、継続服用することで更に効果が高まる。
ザジテン(ノバルティス)
<成分 ※共通>
ケトチフェンフマル酸塩
(1)ザジテンAL鼻炎カプセル
<価格>
希望小売価格(税別) 10カプセル 1,200円、20カプセル 2,000円
<用法>
・成人(15才以上):1回1カプセル、1日2回朝食後及び就寝前に服用。
<特徴>
・抗アレルギー、抗ヒスタミン、抗炎症の3つの作用でつらいアレルギー症状をコントロール。
・花粉・ハウスダストなどによるつらいくしゃみ、鼻みず、鼻づまりに優れた効果を発揮。
・小型カプセルで飲みやすい、一日2回の服用で効果を発揮。
(2)ザジデンAL点眼薬
<価格>
希望小売価格(税別) 10ml 1,380円
<用法>
・1回1〜2滴、1日4回(朝・昼・夕方及び就寝前)点眼。
・コンタクトレンズを装着したまま使用しない。
・目の周囲に流れ出た液は、すぐにふきとる。
<特徴>
・花粉・ハウスダストなどによるつらい目のかゆみ、目の充血、なみだ目などのアレルギー症状に優れた効果を発揮
・抗アレルギー、抗ヒスタミン、抗炎症の3つの作用でつらいアレルギー症状をコントロール
・アレルギー専用 眼科用薬。1回1〜2滴、1日4回で効果を発揮
(3)ザジテンAL鼻炎スプレーアルファ・アルファクール
<価格>
希望小売価格(税別) 7ml 1,380円、 12ml 1,980円
<用法>
・成人(15才以上)及び7才以上の小児:1回に1度ずつ、1日4回(朝・昼・夕方及び就寝前)両鼻腔内に噴霧。
<特徴>
・3つのはたらき(抗アレルギー、抗ヒスタミン、抗炎症作用)を持つ抗アレルギー薬「ケトチフェンフマル酸塩」を配合した「アレルギー専用点鼻薬」
・アレルギーの「発症」から「悪化」までのメカニズムに作用し、軽い症状を感じたときから、アレルギーをコントロール
・液ダレしにくい高粘度の薬液が鼻の奥まで広く密着し、長くとどまるため、成分が効果的に浸透
・高性能のエアレス容器を採用、メントール(添加物:清涼化剤)を配合したクールタイプ(※鼻炎スプレーαクールのみ)
スカイライナーAL錠(エーザイ)
<成分>
アゼラスチン塩酸塩
<価格>
希望小売価格(税込) 24錠 1,134円、48錠 2,106円
<用法>
・成人(15歳以上):1回22錠、朝食後及び就寝前に水又はお湯で服用。
<特徴>
・「アゼラスチン塩酸塩」配合し、「ロイコトリエン」「ヒスタミン」の2つの原因をガード。 鼻づまりや鼻みずの症状を軽減するアレルギー専用薬。
・花粉やハウスダスト等によるアレルギー性鼻炎や食物等のアレルギーによるじんましん、湿疹・かぶれ等アレルギー症状を抑える。
これらの薬は副作用がほとんど出ないとの評判が高くとても人気がありますが、あくまでも人それぞれですのでその辺は十分に注意してください。
また、今回は、最近に承認されたスイッチOTC薬の一例をご紹介しましたが、他にもありますので参考程度にしてください。
ところで、平成25年に行われた薬事法関連法令等の一部改正により、一般医薬品だった上記スイッチOTC薬のうち、「アレグラfx」、「アレジオン10」、「アレギサール鼻炎」については、『要指導医薬品』という分類に変更されました。
この変更によって、一般医薬品と比べ厳しい規制が掛かることになりました。