花粉症の症状には「レベル」がある?
花粉症に関する話題を調べていると、時折「レベル」という言葉が出てくるのですが、アナタは花粉症のレベルってご存じですか?
言葉だけを見ると、いわゆる花粉症の症状を段階的に区分するものだとは想像出来ます。
そこで、花粉症のレベルの意味やそれを知ることでどういうメリットがあるのか、花粉症対策に活かせるのかどうかなど、少し深く調べてみることにしました。
花粉症における「レベル」といわれる概念としては大きく2つに分類されます。
一つ目は「自覚症状」としてのレベルです。
これはつまり、花粉症の症状である「くしゃみ」や「鼻水」、「鼻詰まり」が出現しているときに、それがどの程度の状態かによって重症度を判断するレベルです。
このレベルを判断するための一つの基準となっているのは、「鼻アレルギー診療ガイドライン」というものです。
このガイドラインでは、下表のように症状の程度(1日におけるくしゃみ発作の回数や鼻をかむ回数、鼻閉の状態)と病型(くしゃみ・鼻漏型、鼻閉型、充全型)によって、「無症状」、「軽症」、「中等症」、「重症」、「最重症」の5段階に分類しています。
この重症度判定は花粉症患者を扱う医師の多くが利用しており、花粉症の治療方法を決める際の重要な判断材料になるので、普段から自分の病型と重症度(レベル)を把握しておくと問診のときに役立ちます。
2つ目のレベルとは「検査」によって判断するものです。
「花粉症の検査」でも触れていますが、花粉症を治療する際には必ず1度は検査を受ける必要があること、そしてその検査の種類として「鼻汁好酸球検査」、「血液検査」、「皮内テスト」、そして「鼻粘膜誘発試験」の4種類があります。
この4つの検査のうち「鼻汁好酸球検査」以外の3つについては、アレルギーの有無だけでなくアレルギーの原因(アレルゲン)を特定するために行われますが、「皮内テスト」と「鼻粘膜誘発試験」の場合は直接アレルゲンを体内に付着させて実際の反応を見ることから、少量のアレルゲンであってもアナフィラキシーショックなどの危険性が伴うため、実施の際は医師の管理下のもとで慎重に行われなければなりません。
そのような観点から、アレルギーの有無・アレルゲンの特定をする際にもっとも良く行われるのが「血液検査」で、特に「特異的 IgE(IgE RAST)検査」が主流になっています。
この特異的 IgE検査は、本来アレルゲンごとにアレルギー反応の有無(いわゆる陰性か陽性か)を判断するものですが、検査結果として得られる数値を0〜6までの7段階で判定する「クラス判定」というものがあり、これを花粉症の「レベル」と呼ぶ場合が多いようです。(下表参照)
確かにクラスが高いほどそれがアレルゲン(原因物質)である可能性が高く、より重症である可能性も高いとはいえますが、必ずしも決定的なものではありません。
一般的にはクラス4以上の人のほとんどがアレルギー反応を示していますが、中にはクラス6であっても、全く症状が発現しない人もいるようです。
ですから、特異的 IgE検査によるクラス判定は「潜在的重症度」といわれています。
このように「自覚症状」によるレベルと「検査(主に血液検査)」によるレベルがあるのですが、これらの「レベル」は一体どのような意義を持つのでしょうか。
まず、1つは先ほど触れたように『医師が花粉症の治療方法を決定する上での参考にする』ことです。
たとえば、自覚症状による程度が軽症の場合は用いる薬も一つから始めることが多いですし、重症、最重症の場合は用いる薬も数種類を複合して行うことが予想されます。
(※前述の「鼻アレルギー診療ガイドライン2005」にも下表のとおり「重症度に応じた花粉症に対する治療法の選択基準」が掲載されています)
2つ目としては、『治療経過における症状改善状況の確認』です。
花粉症のレベルを知って活用しよう!これは主に「減感作療法」など根治療法を行っている場合に多いようですが、アレルギー反応の改善状況を血液検査などによって判断します。
たとえば、自覚症状的には変化がなくても、血液検査でクラスが下がってきたような場合は、治療による改善が進んでいる可能性が高いと判断出来ます。
そして3つ目は、『花粉症の症状を和らげるための予防対策への活用』にあると思います。
自分自身で花粉症のレベルを知ることにより、生活環境におけるさまざまなセルフケアに繋げていけるはずです。
たとえば、マスクやメガネ、手洗い、うがい、室内への侵入阻止対策、掃除対策、あるいはセルフメディケーション(市販薬の服用)などなど、自分の重症度に応じた対策をより充実させることが出来るのです。
花粉症のレベルは絶対的なものではありませんが、普段から意識して自分なりに活用することが大切だと思います。