アニサキス幼虫は目で見える?
魚介類を食べる前に、アニサキス症の原因となるアニサキス幼虫を見つけて取り除くことが出来れば、アニサキス症を回避することが可能になります。
それでは、魚介類に潜むアニサキス幼虫をどのように見つければ良いのでしょうか。
アニサキス症の予防対策のページでも触れましたが、魚介類に寄生するアニサキス幼虫(第3期幼虫)は、体長が2cm〜3cm、幅が0.3cm〜0.6cmの乳白色の少し太い糸のような形状をしていますので、肉眼で見つけることが出来ます。
アニサキス幼虫には成長段階によって第1期から第3期に分かれています。
魚介類に寄生しているときは「第3期幼虫」までで、人間の体内に入ってきてもそれ以上成長することはなく、人間の体内で長くは生きられません。
アニサキス幼虫が成虫になるのは、唯一、クジラやイルカなどの海洋哺乳類の体内にいるときです(ちなみに、成虫になると体長は雌で6〜10cm、雄で3〜9cmにもなります)。
魚介類の身の表面にいるときはよく見えますが、身の中の方に入ってしまうと見えなくなる場合があります。
また、丸まっているときは1cm以下になるので、見落としやすくなります。
アニサキス幼虫捜索の切り札「ブラックライト」とは?
アニサキス幼虫は肉眼で見える大きさですが、丸まったり身の奥の方に入り込んでいる場合は見つけにくくなります。
そんなときにも、光の効果でより見つけられる方法があります。
それが通称「ブラックライト」と呼ばれる照明器具です。
ブラックライトは、紫外線を発光するライトのことで、通販などでも比較的安価で販売されています。
警光灯のような形のものやLEDライトの懐中電灯型のものなどが一般的です。
(参考:ブラックライトの通販例)
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ブラックライトは、紫外線蛍光によって白い色の物質を際立たせる特徴を利用したものですが、アニサキス幼虫を発見するために開発された本格的な商品もありますので、いくつかご紹介します。
クリーンケアライト アニサキス
「クリーンケアライト アニキサス」は、埼玉大学との産学連携により開発されたアニサキスに特化した特殊ライトです。
蛍光分光光度計というものを用いてアニサキス幼虫の蛍光スペクトルを解析し、アニサキス幼虫が持つ「過酸化脂肪」という物質をより光らせることでアニサキス幼虫を容易に見つけることが出来ます。
紫外線強度を高くすることにより、一度に広い範囲(1灯式ライト 30cmの距離で照射範囲直径30cm)を見ることが出来ます。
紫外線強度は市販の携帯型ブラックライトの10倍〜100倍もあり、アニサキス幼虫だけを強く光らせることができます。
電源は専用のエネループ充電電池(パナソニック製)で、充電器も付属しています。
なお、商品のお値段はライトの灯数により1灯式で22,800円、2灯式で39,800円、3灯式は59,800円(特注)となっており、それなりには高額ですが、たとえば鮮魚店や料理店など商売で魚介類を扱うところでは重宝しそうです。
(参考:クリーンケアライト アニサキスの効果を検証した動画)
その1
その2
クリーンチェッカー
「クリーンチェッカー」は、ブラウエ・ライタージャパンという会社が開発した商品で、もともとはホテルなどの清掃でトイレ便器の汚れなどを発見するために開発されたもののようですが、アニサキス幼虫の発見にも大変効果あるということです。
こちらの商品は懐中電灯の形状をしていて、電源はUSB充電型のリチウムイオン電池を使用しています。
UV強度が高いので、部屋を暗くしなくても検知が可能です。
また、紫外線の波長もUV365nmとなっており、アニサキス幼虫の発見に最適な波長は370mm前後といわれていますのでほぼ合致しています。
お値段は27,000円(税抜き)となっていますので、一般的なブラックライトに比べると高価といえます。
こちらの商品はAmazonでも販売しています。
実際の効果を検証した動画もありました。
その1
その2
アニサキス検査装置 i-Spector
「 i-Spector(アイ スペクター)」は、イシダが開発したアニサキスの検出に特化した装置です。
イシダは、計量技術を中心に包装、検査、表示、情報、搬送、衛生など幅広い分野を手掛け、世界100 カ国以上で事業展開する総合商社です。
この商品はボックス型になっており、魚介類をおろした後にボックスに入れ、光に当てることによりアニサキス幼虫を発見することが出来ます。
京都大学との産学連携により、アニサキスだけが光る波長領域を研究開発し製品化されたもので、価格も20万円を超えますので、業務用という位置づけとなるかと思います。
ターゲットとしては、流通小売店のバックヤードや寿司店、鮮魚店、海鮮居酒屋など、生の魚介類を提供する業種・店舗などが考えられます。
なんと、この商品もAmazonで販売されていました。
動画の方も見つかりましたので、参考として掲載します。
「ブラックライト」を過信してはいけない?
アニサキス幼虫の発見に効果があり大変便利なブラックライトですが、これをあまり過信するのは危険です。
その理由の一つは、先ほども触れたように、魚介類の身(筋肉)の奥の方へアニサキス幼虫が隠れている場合があります。
また、白身の魚やイカなどは、アニサキス幼虫と同じような乳白色なことから、ブラックライトの光でも識別しずらいです。
さらには、ブラックライトなどの紫外線蛍光でも光りづらい、もしくは光らない種類のアニサキス幼虫があることも確認されていますす。
とにかく、アニサキス幼虫がたった一匹でもアニサキス症になる危険性がありますので、ブラックライトを使う場合でも慎重にチェックする必要があります。
ですから、自分で釣ってきた魚を刺身で食べたいときは、時間に余裕があって一切れずつブラックライトでチェックするぐらいの覚悟がなければ、火を通して召し上がりましょう。