アニサキス症になると、どんな症状が出るのか?

 

実際にアニサキス症になったら、どのような症状が現れるのでしょうか。

 

アニサキス症のうち、もっとも発症例が多い「劇症型胃アニサキス症」のケースでみてみましょう。

 

まず、アニサキス幼虫が寄生した魚介類を食べてから1時間から数時間後に、差し込むような激しい胃の痛みが現れます。

 

劇症型アニサキス症の激しい腹痛

 

しばらくすると痛みは一旦落ち着きますが、数分後にまた激しい痛みが現れ、これが一定の間隔で繰り返し起こります。

 

また、発熱やじんましん、アナフィラキシーなどのアレルギー症状を併発する場合もあります。

 

アニサキス症の発症部位による分類

アニサキス症には、発症する部位によって以下のように分類されます。

1.胃アニサキス症

胃で発症するもので、急性の場合は食後数時間から十数時間後、みぞおち(腹の上部中央部分)に差し込むような激しい痛みが断続的に続きます。吐き気や嘔吐などの症状も現れます。

 

胃アニサキス症

2.腸アニサキス症

腸で発症するもので、急性の場合は食後十数時間から数日後、激しい下腹部痛(腹膜炎のような症状)が断続的に続き、ときには腸閉塞や腸穿孔を併発することもあります。

 

腸アニサキス症

 

3.消化管外アニサキス症

ごくまれに、消化管を通り抜けて消化管以外の部位で種々の症状を起こすことがあります。たとえば大網、腸間膜、腹壁皮下などに移行して「肉芽腫」を形成することもあり、アニサキス幼虫が移行した部位に応じた症状が現れます。

 

消化管外アニサキス症

 

 

これらの症状のほか、“じんましん”のようなアレルギー症状を起こす「アニサキスアレルギー」と呼ばれるい症状が併発する場合もあり、重症化すると血圧降下や呼吸不全、意識消失などの“アナフィラキシー症状”を起こすこともあります。
(アレルギーについては、「アニサキスアレルギーとは?」を参照)

 

アニサキス症の現れ方による分類

アニサキス症には、症状の現れ方(程度)によって以下の2通りに分類されます。

1.緩和型アニサキス症

発症する部位に軽い痛みを感じる程度で、なかには自覚症状が出ない場合もあります。症状自体がとても軽いので「軽症型アニサキス症」とも呼ばれます。

 

緩和型アニサキス症

 

2.劇症型アニサキス症

発症する部位が胃でも腸でも同様で、差し込むような痛みとともに、吐き気や嘔吐などの症状が断続的に現れます。「急性アニサキス症」とも呼ばれます。

 

劇症型アニサキス症

 

これらの症状の原因は、以前は魚介類を介して生きたアニサキス幼虫がヒトの体内の入り、“胃や腸などの壁(粘膜)に刺さる際の痛み”と考えられてきましたが、近年になって、アニサキス症の症状は、“アレルギー反応によるもの”との見方が主流になっています。
(アニサキス症のアレルギー反応については「アニサキス症はアレルギー反応?」を参照)