特異的IgE抗体検査におけるアレルゲン

 

アレルギー検査で原因アレルゲンを調べるための検査用アレルゲン(アレルゲンエキス)種類はどれぐらいあるのでしょうか。

 

アレルギー検査でもっとも多く行われている「特異的IgE抗体検査」(血液検査)のうち、RAST法検査に用いられるアレルゲン原因別に以下のとおり分類され、さらに種類ごとにリスト化されていてます。

 

現在のところ、200種類以上の検査用シングル・アレルゲンがあります。

 

シングルアレルゲン

室内塵

ハウスダストのアレルゲン

 

室内の塵(ハウスダスト)のアレルゲンです。

 

室内塵には、「ハウスダスト1」「ハウスダスト2」2種類があります。

 

アレルゲン成分には、いずれもダニ動物のふけゴキブリなどが含まれていると考えられます。

 

この2つの違いは、単なるアレルゲン原料の供給元 (製造メーカー) の違いだけでほとんど違いがないので、複数のアレルゲンを検査する際はいずれか一方を選択すると良いです。

 

ダニ

ダニのアレルゲン

 

ダニ類のアレルゲンです。

 

ダニ1(ヤケヒョウヒダニ)ダニ2(コナヒョウヒダニ)アシブトコナダニサヤアシニクダニケナガコナダニ5種類があります。

 

なお、「ハウスダスト」にもダニ成分が含まれていますので、ハウスダストで陽性が出た際にだけ個別のダニ検査すると良いです。

 

樹木花粉

樹木花粉のアレルゲン

 

いわゆる“花粉症”の原因となるアレルゲンです。

 

スギヒノキハンノキなど15種類があります。

 

花粉症のアレルゲンは、樹木の生息地によって種類がある程度絞れる可能性があります。

 

 

 

イネ科植物花粉

イネ科花粉のアレルゲン

 

こちらも花粉症の原因アレルゲンで、背丈の高いイネ科植物花粉のアレルゲンです。

 

カモガヤオオカワガエリハルガヤなど13種類があります。

 

 

 

雑草花粉

雑草花粉のアレルゲン

 

こちらも同じく花粉症の原因アレルゲンで、背丈の低い雑草に属する植物花粉のアレルゲンです。

 

ブタクサヨモギカナムグラなど14種類があります。

 

 

 

 

 

真菌/細菌

どちらも菌類ですが、その性質は大きく違います。

 

真菌・細菌のアレルゲン

 

真菌は、カビ酵母などが該当し、アトピー性皮膚炎接触性皮膚炎を起こしやすくします。

 

細菌は、大腸菌ブドウ球菌サルモネラ菌などで、細菌性結膜炎などを引き起こします。

 

ピティロスポリウムカンジタ黄色ブドウ球菌エンテロトキシンAなど13種類があります。

 

動物

動物のアレルゲン

 

ペット家畜など、人の生活と関りを持つ動物のアレルゲンです。

 

ネコ(フケ)イヌ(フケ)をはじめ、ブタ(上皮)ヒツジ(上皮)ニワトリ(羽毛)など18種類があります。

 

なお、「フケ」と表示されるものは主に“吸入性アレルギー”を疑う場合に、「上皮」と表示されるものは主に“接触アレルギー”を疑う場合に選択すると良いです。

 

昆虫

昆虫のアレルゲン

 

こちらも人の身近にいる昆虫のアレルゲンです。

 

ゴキブリスズメバチヤブカなど6種類があります。

 

 

 

 

寄生虫

人や人の食べる食物に寄生する回虫などのアレルゲンです。

 

アニサキス回虫の2種類があります。寄生虫のアレルゲン

 

人に寄生する回虫の場合、気管支喘息などを引き起こすアレルゲンとされています(一方でアレルギーを予防する効果があるとの情報もあります)。

 

職業性アレルゲン

職業性のアレルゲン

 

職業性アレルゲンとは、職業環境が原因で生じるアレルギー疾患のアレルゲンをいいます。

 

綿ラテックスなど11種類があります。

 

酪農業ペットトリマー園芸師庭師など職業に関係の深いアレルギーもありますが、これらは動物系植物系のアレルゲンに分類されています。

 

金属ゴム化粧品香料など“刺激性アレルギー”のアレルゲンについては、特異的IgE抗体検査で反応しないため、通常はパッチテストで行われます。

 

食品

いわゆる“食物アレルギー”の原因となるアレルゲンです。

 

もっとも種類が多く、86種類もあります。

 

食品アレルゲンをさらに分類すると、以下のようになります。

 

食品のアレルゲン
・卵(卵白、卵黄、オボムコイド)
・乳類(牛乳、チーズ、α-ラクトアルブミン、カゼインなど)
・イネ類(米、コムギ、オオムギ、オートムギ、ライムギ、ヒエ、アワなど)
・豆類(大豆、インゲン、エンドウ、ピーナッツ、アーモンドなど)
・果物類(イチゴ、リンゴ、モモ、バナナ、メロン、オレンジなど)
・野菜類(トマト、セロリ、パセリ、タマネギ、ジャガイモ、カボチャなど)
・肉類(牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉)
・魚介類(エビ、カニ、カキ、イカ、タコ、サバ、サケ、イクラ、タラコなど)
・その他(グルテン、マスタード、麦芽、ビール酵母など)

 

 

薬物

薬物のアレルゲンです。

 

薬物のアレルゲン

 

ヒトインスリンゼラチン2種類があります。

 

ヒトインスリンインスリン製剤の一種で、糖尿病の治療などに用いられますが、注射後にかゆみなどの症状が出る場合があります。

 

ゼラチンコラーゲンに熱を加え抽出したもので、デザートの材料などにも使われますが、これにより各種のアレルギー症状を起こす場合があります。

 

マルチアレルゲン

シングルアレルゲン(単体アレルゲン)のほかに、原因分類による主要なアレルゲンを混合した「マルチアレルゲン」があります。

 

マルチアレルゲンは、どの分類のアレルゲンが影響しているのかをスクリーニングし、その後にシングルアレルゲンの検査を行うことで費用対効果にもすぐれた利点があります。

 

種類は以下の6種類です。

マルチアレルゲン名 混合アレルゲンの種類
イネ科・マルチ ハルガヤ、ギョウギシバ、カモガヤ、オオアワガエリ、アシ
雑草・マルチ ブタクサ、ヨモギ、フランスギク、タンポポ(属)、アキノキリンソウ
動物上皮・マルチ ネコ(フケ)、イヌ(フケ)、モルモット上皮、ラット、マウス
カビ・マルチ ペニシリウム、クラドスポリウム、アスペルギルス、カンジダ、アルテルナリア、ヘルミントスポリウム
食物・マルチ 卵白、牛乳、小麦、ピーナッツ、大豆
穀物・マルチ 米、小麦、トウモロコシ、ゴマ、ソバ

 

 

アレルゲンセット(各種)

環境の違いアレルゲンの種類患者さんの世代アレルギーの症状発症部位、またはそれらの組み合わせなど、さまざまなタイプのアレルゲンセットがあります。

 

たとえば、「室内・室外、季節別」「気管支喘息×世代別」「アトピー性皮膚炎×世代別」「アレルギー性鼻炎×通年・季節別」といったようにさまざまな組み合わせがあり、いずれも“保険適用範囲内”でセッティングされています。

 

Viewアレルギー39・MAST48

保険適用の関係で、通常は“アレルゲンは13種類まで”というしばりがあるのですが、最近出てきている「View39」「MAST48」という検査キットはその名のとおり一度に39種類48種類ものアレルゲンを判定ことができます(しかも保険適用)

 

48種類のアレルゲンを検査

 

詳しい理由は分かりかねますが、@一度に採血した血清を使用することや検査するアレルゲンの種類が固定されている(アレルゲンの入替不可)などが条件により診療報酬点数最大の1,430点以内で認められているようです。

 

※MAST48の場合、いくつかミックス・アレルゲンも含まれています。

 

これらの検査を受けてみると、普段は気にも留めてなかったような意外なアレルゲンが見つかる場合もあります(※ただし、「特異的IgE抗体検査」で判定できるのは、あくまでもアレルゲンの“可能性”です)。

 

ヒスタミン遊離試験におけるアレルゲン

ヒスタミン遊離試験(HRT)の場合、患者さんの世代やアレルギー疾患に特化したアレルゲンが用意されています。

 

いわゆる“アレルゲンセット”として、「乳幼児期用食物」「学童・成人期食物」「アトピー性皮膚炎」の3種類があります。

 

また、現在除去中(摂食を控える)のアレルゲンについて、その解除時期を判断するにあたり負荷試験実施の可能性探る「除去食」用のアレルゲンもあります。

 

HRT用アレルゲン一覧

アレルゲンセット名 含まれるアレルゲン
HRT 乳幼児期用食物 卵白,オボムコイド,オバルブミン,牛乳,小麦
HRT 学童・成人期用食物 ソバ,ピーナッツ,エビ,カニ,ゴマ
HRT アトピー性皮膚炎 ヒト汗,ヤケヒョウヒダニ,ネコ上皮,イヌ皮屑,カンジダ
HRT 除去食用 卵白,牛乳,小麦,ピーナッツ,エビ

 

 

皮膚テストにおけるアレルゲン

皮膚検査皮内テストプリックテストスクラッチテストパッチテスト)の場合のアレルゲンについてです。

 

皮内テスト

皮内テスト

 

皮内テストに用いられるアレルゲンは、主に「診断用アレルゲン皮内エキス(トリイ)」というアレルゲンエキスです。

 

原料となるアレルゲンを無菌生理食塩溶液等で1,000分の1程度に希釈された溶液です。

 

皮内テスト専用のアレルゲンは、植物魚介類カビ類食物花粉などのアレルゲンが40種類以上あります。

 

プリックテスト・スクラッチテスト

プリックテスト

 

どちらの場合も、主に「スクラッチアレルゲンエキス」というものを用います。

 

原料となるアレルゲンをグリセリン食塩溶液で10分の1〜100分の1程度に希釈された溶液です。

 

こちらも皮内テストと同じように植物魚介類カビ類食物花粉に加えて、ハウスダスト動物のものもあり、種類も70種類以上になります。

 

※なお、アレルゲンを疑う物質があれば、それを持参すると濃度調整を行ったうえで検査に用いることもできます。

 

パッチテスト

パッチテスト

 

パッチテスト用のアレルゲンは、主に“接触性アレルギー”の原因となるアレルゲンです。

 

こちらも「パッチテスト試薬」のいう個別のアレルゲンが販売されています。

 

金属アレルゲンとしては、塩化アルミニウム塩化コバルト臭化銀重クロム酸カリウム硫酸クロムなど17種類があり、0.02%から2%程度に希釈されています。

 

“液体アレルゲン”として、アクリノールホルマリン塩酸プロカインテレビン油など8種類があり、0.05%から希釈しない溶液を用います。

 

パッチテストパネル

 

“軟膏アレルゲン”として、ベルガモット油コールタールローズ油ウルシオールなど10種類があり、0.02%から20%程度に希釈されています。

 

また、日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会が“日本人で陽性率が高いアレルゲン25種類をチョイスし、パネル2枚のセットにした「パッチテストパネルージャパニーズスタンダードアレルゲン」というセットがあり、パッチテストを行う場合の主流的存在となっています。

 

※なお、アレルゲンを疑う物質があれば、それを持参すると濃度調整を行ったうえで検査に用いることもできます。