診療報酬について

 

アレルギー検査の費用(料金)は、「診療報酬」に基づいて決められています。

 

そこで、まずは「診療報酬のしくみ」について簡単にご説明いたします。

 

 

診療報酬とは

日本では、誰もが病気やケガをしたときに病院や診療所、調剤薬局などの医療機関診療投薬治療などの医療サービスを受けることができます。

 

この際にかかった「医療費」は、自分で全額を負担するわけではなく、原則として治療費(総額)の「3割」だけを支払い、残りの7割は保険者が負担しています。

 

これを支えるベースとなるのが“医療保険制度”と呼ばれるもので、ほとんどの人が公的医療保険に加入し毎月保険料を継続して納めています。

 

「診療報酬」とは、医療機関等が提供する医療サービスの対価として、“保険者”から受け取る報酬のことで、その金額は「診療報酬点数表」というもので明確に定められています。

 

 

新療法集のしくみ

 

※“保険者”とは、国民健康保険や健康保険組合・全国健康保険協会(協会けんぽ)など、公的医療保険の事業を運営する機関のことをいい、国民はいずれかの公的医療保険に必ず加入することになっています(「国民皆保険制度」と呼ばれます)。

 

 

「診療報酬点数表」によってすべての医療サービスの範囲・品目及び点数が定められており、医療機関が行った医療サービスごとにそれぞれの項目に応じた点数が合算されます。「1点」の単価は10円として計算されますので、点数を10倍した額が実際の医療費となります。

 

診療報酬点数

 

なお、診療報酬点数は2年に1回見直しされ、各項目の点数が増減する場合がありますので注意が必要です(最新の点数表を確認してください)。

 

アレルギー検査の料金(診療報酬点数)

次に、各アレルギー検査の具体的な「診療報酬点数」について調べてみました。

 

診療報酬点数とは

 

ちなみに「検査」という項目は、“医科診療報酬点数表”の『第2章 特掲診療料』『第3部』に位置付けられています。

 

さらに“アレルギー検査全般”に関しては、『第1節 検体検査料』『第1款 検体検査実施料』の中で示されています。
(※表の区分がかなり細かいので分かりづらいと思いますが、参考にしてください)

 

これらの区分とは別に、各項目には「アルファベット+数字(3ケタ)」の番号が付いていて、「検査」に関しては『D』から始まります。

 

なお、点数「1点」=「10円」ですので、たとえば「100点」であれば「1,000円」というふうに換算して計算されます。

 

非特異的IgE半定量・定量

点数:100点 (1,000円)

 

『D015 血漿蛋白免疫学的検査』の10番目に掲載されています。

 

非特異的IgE検査

 

血液中のIgE抗体の総量を測定する検査です。

 

いわゆる“アレルギー体質”かどうかを調べる検査で、個別のアレルゲンを特定するものではありません。

 

特異的IgE半定量・定量

点数:110 (1,100円 1種類につき)

 

『D015 血漿蛋白免疫学的検査』の12番目に掲載されています。

 

個別のアレルゲンごとのIgE抗体の量を測定する検査です。

 

なお、注意書きに『特異的IgE半定量・定量検査は、特異抗原の種類ごとに所定点数を算定する。ただし、患者から1回に採取した血液を用いて検査を行った場合は、1,430点を限度として算定する。』と書かれています。

 

非特異的IgE検査
つまり、一度の検査で1種類のアレルゲンであれば110点までですが、1,430点を超えない範囲で「複数のアレルゲンを判定することができる」ということになります。

 

近年、多く使われている特異的IgE抗体用の検査キットは、1度の検査で数十種類のアレルゲンを判定することができ、1,430点(14,300円)以内の範囲、いわゆる“保険適用”ができます。

 

ということは、1種類のアレルゲンが110点なので、(110×13=1430) つまり13種類までは保険が適用される計算になります。

 

※ただし「View アレルギー39」という検査キットは、一度に39種類のアレルゲン判定ができて診療報酬は1,430点となっています。

 

 

アレルゲン刺激性遊離ヒスタミン(HRT)

点数:159点 (1,590円)

 

『D015 血漿蛋白免疫学的検査』の15番目に掲載されています。

 

血液中で特異的IgE抗体と結合した好塩基球が原因アレルゲンと反応して アレルギー症状を引き起こす原因物質である「ヒスタミン」が遊離されたかどうかを見る検査です。

 

ヒスタミン遊離試験
なお、通知(補足説明)のところで『アレルゲン刺激性遊離ヒスタミン(HRT)は細胞反応測定法により実施され、特異的IgE半定量・定量と同時に行った場合であっても、特異抗原の種類ごと に所定点数を算定し、特異的IgE半定量・定量と併せて 1,430点を限度として算定する』とされています。

 

つまり、HRTと特異的IgE抗体検査を一緒に行う場合については、トータルで1,430点を超えなければ保険適用ということになります。

 

リンパ球刺激試験(LST)

点数:345点 (3,450円 1薬剤)
   425点 (4,250円 2薬剤)
   515点 (5,150円 3薬剤以上)

 

『D016 細胞機能検査』の7番目に掲載されています。

 

リンパ球刺激試験

 

薬疹や薬剤性肝障害などのW型アレルギー(遅延型)症状に対し、特定の薬剤(アレルゲン)が関与しているかどうかをリンパ球の増殖により判定する検査です。

 

皮内反応検査、鼻アレルギー誘発試験

点数:16点(160円 21箇所以内の場合、1箇所につき)
  :350点(3,500円 22箇所以上の場合、一連につき)

 

『D291』に掲載されています。

 

皮内反応検査とは、いわゆる皮膚に原因アレルゲンを接触させ反応をみる検査で、パッチテストブリックテスト(スクラッチテスト)皮内テストが該当します。

 

皮内反応テスト

 

鼻アレルギー誘発試験は、鼻アレルギー症状の原因と思われるアレルゲンを染み込ませたディスクを直接鼻粘膜に付着させ、反応をみる検査です(鼻アレルギー誘発試験の場合、用いられるアレルゲンは1種類なので、16点となります)。

 

数種のアレルゲン又は濃度の異なったアレルゲンを用いて皮内反応検査を行った場合は、それぞれにつき1箇所として16点を算定します。

 

また、これらの検査の事前検査として行われる検査については、皮内反応検査の所定点数には含まれません

 

上記の点数はあくまでも“検査料”であり、これらの検査で用いられる薬剤については診療報酬点数表の「D500」による「薬剤料」が別に適用されます。

 

薬剤とは、アレルギーの原因とされる主なアレルゲンの「診断用アレルゲンエキス」などをいいます。

 

アレルゲンエキスも薬

 

薬剤料の算定方法は以下のとおりです。

 

・薬価が15円を超える場合は、薬価から15円を控除した額を10円で除して得た点数につき1点未満の端数を切り上げて得た点数に1点を加算して得た点数とする。

 

薬価が15円以下である場合は、算定しない

 

小児食物アレルギー負荷検査

点数:1,000点 (10,000円)

 

『D291-2』に掲載されています。

 

食物アレルギー負荷検査(食物傾向負荷試験)とは、食物アレルギーの疑いのある患者さんに原因と推定されるアレルゲンを実際に摂取させ、アレルギー症状が出るかどうかを診断する検査です。

 

小児食物アレルギー負荷検査

 

なお、保険の適用については、@9歳未満の小児に限られること、A別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において食物アレルギー負荷検査を行った場合、年2回に限り適用されます。

 

※ちなみに厚生労働大臣が定める施設基準とは、以下のとおりとなっています。

 

1 小児科を標榜している保険医療機関
2 小児食物アレルギーの診断及び治療の経験を10年以上有する小児科を担当する常勤の医師が1名以上配置されている。
3 急変時等の緊急事態に対応するための体制その他当該検査を行うための体制が整備されている。

 

※小児食物アレルギー負荷検査における投薬、注射及び処置の費用は、所定点数に含まれます。

 

好塩基球活性試験(BAT)

※診療報酬 未収載(保険適用なし)

 

血液中の好塩基球を利用した検査で、アレルギー反応を直接捉えるため実際の症状をより反映する検査であり、また、調べたいアレルゲンを自由に選択することもできるなど、大変有用な検査ですが、今のところ保険適用がありません

 

好塩基球活性試験

 

このように、診療報酬点数表に掲載されている検査で、その適用範囲内であれば保険が適用され、点数表に掲載されている点数の一部(原則3割)を負担することになります。

 

また、当該点数表に未収載(掲載されていない)の検査については、掲載されているものの中で最も近い検査の点数を適用することになっています。(ただし、保険適用がないので、掲載された点数×10円の10割(全額)が請求されることになります。

 

検査料以外にかかる料金

前述したのは、あくまでも「検査料」のみの費用であり、実際に支払う医療費には他の費用も加算されて請求されます。

 

加算される主な費用は以下のとおりです。

初診料:288点(2,880円)

初めて診療行為があった場合に算定されるのが「初診料」です。【区分:A000】

 

なお、6歳未満の乳幼児が診療を受けた場合は「乳幼児加算(75点)」、時間外や休日、深夜に診療を受けた場合には「時間外加算(85点)」「休日加算(250点)」「深夜加算(480点)」がそれぞれ加算されます。
初診料
また、診療所において午後6時(土曜日は正午)以降午前8時までの間(深夜及び休日を除く)や、休日又は深夜に医療機関が表示している診療時間内に初診を行った場合には、「夜間・早朝等加算(50点)」が加算されます。

 

※このほかにも、6歳未満の乳幼児又は妊婦の場合、小児科や産科・産婦人科を標榜する医療機関における加算、「機能強化加算」などの別途加算がありますので、点数算定の際に留意が必要です。

 

再診料:73点(730円)

最初の1回では治らず同じ病院に通院する場合、2回目以降に加算されるのが「再診料」となります。【A001】

 

なお、許可病床のうち一般病床の数が200以上である保険医療機関において再診を行った場合は、「再診料」ではなく「外来診療料(74点)」が算定されます。

 

一連の治療行為でなければ再診の都度算定され、患者さんの都合で前回の通院から1か月以上経過したときは「初診料」となる場合があります。

 

治療期間中に当該病院に話等で治療上の意見を求め、指示を受けた場合には「再診料」が請求されます。
再診料

 

初診料と同様、6歳未満の乳幼児が診療を受けた場合は「乳幼児加算(38点)」、時間外や休日、深夜に診療を受けた場合には「時間外加算(65点)」「休日加算(190点)」「深夜加算(420点)」がそれぞれ加算されます。

 

また、診療所において午後6時(土曜日は正午)以降午前8時までの間(深夜及び休日を除く)や、休日又は深夜に医療機関が表示している診療時間内に初診を行った場合には、「夜間・早朝等加算(50点)」が加算されます。

 

※このほかにも、6歳未満の乳幼児又は妊婦の場合、小児科や産科・産婦人科を標榜する医療機関における加算、「外来管理加算」「地域包括診療加算」「認知症地域包括診療加算」などの別途加算がありますので、点数算定の際に留意が必要です。

 

入院料:区分による

アレルギー検査の場合、ほとんどが日帰りの検査ですが、“食物経口負荷試験”など一部の検査では入院が必要なケースもあります。その際には「入院料」が算定されます。

 

入院料

 

入院基本料は、一般病棟、療養病棟など保険医療機関の機能に応じ9区分に分かれています(詳細は診療報酬点数表で確認してください)。

 

 

 

検体検査判断料:144点(1,440円)

一般的なアレルギー検査(検体検査)結果を判断するために要する費用です。【D026】

 

なお、該当する検体検査の種類又は回数にかかわらず、それぞれ月1回に限って算定できます。検体検査判断料

 

 血液採取:30点(静脈 1日につき)

アレルギー検査のうち、検体として血液を採取する場合に算定します。【D400】

 

入院中の患者以外の患者についてのみ算定で、6歳未満の乳幼児に対して行った場合は「乳幼児加算」として25点を加算します。
採血料

 

実際の計算例

最後に、医療機関で実際にアレルギー検査を受けた場合の費用(自己負担額)について、シミュレートしてみましょう。

 

例示として、アレルギー検査のうち受験率がもっとも多いとされる「特異的IgE抗体検査」(複数アレルゲン同時検査)における“診療報酬点数”及び“医療費(自己負担額)”を算定します。

 

『特異的IgE抗体検査』における診療報酬点数及び自己負担額

 

診療報酬点数

@初診料:288
A検査料:1,430(アレルゲン数が最大の場合)
B採血料:30
C検体検査判断料:144
C再診料:73
(※検査結果が出るまでに数日を要するため、1回以上は再診する可能性があります)
D外来管理加算:52

 

合計:2,017点

 

診療報酬点数

 

医療費(自己負担額)

※15歳の人(3割負担)を想定しています

 

2,017点×10円=20,170円(診療報酬点数換算)
20,170円×0.3(3割負担分)=6,051円

 

自己負担額:6,051円
医療費の支払い

 

なお、消費税増税分診療報酬の改定により対応しているため、別途に掛かりません